高松次郎ミステリーズ
たまたま東京国立近代美術館に行き、
「高松次郎ミステリーズ」という美術展を見てきた。
ちなみに、今まで高松次郎氏については全く知らなかった。
高松次郎と影
展覧会は高松次郎氏の影を中心とした作品が展示されている。
人間はモノを見るとき、純粋にそのものを見ているのではなく、
ある種の固定観念を持ち、それを通して見ていると高松氏は考えた。
そして、その固定観念を排除するため、
モノが不在で、モノの影のみが展示されている、
という作品を多く作った。
影はたしかにあるが、影を作り出しているモノは見えない。
実在しない不思議な世界へ引き込まれた感じがした。
固定観念の破壊と「モノ」の真の姿
また「複合体」という作品では、
イスとレンガにより水平、垂直、斜面を表し、
イスとレンガの機能を無意味化させた。
「この七つの文字」という文字が書かれた作品は、
一見ただの作品に見えるが、
実は文字が持つ「何かを表す」という機能を取り払い、
文字自体に意味を持たせた作品であった。
このように高松氏は「モノ」に対する固定観念を取り払い、
「モノ」の真の姿を探求し続けた。
たとえ、それが到達不可能なものだとしても。
数学や物理学を用いて、
「モノ」の真の姿を探求したことも、非常に興味深かった。
(展示されているドローイングには数字が多く書かれていた。)
この美術展は、現実世界に隣接する不思議な世界を見せてくれた。
ようやく「高松次郎ミステリーズ」の意味がわかった。
コメント