真備町浸水被害からみる「ハザードマップ」の重要性

地理
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甚大な被害の真備町とは

もとは一つの町

先週から降り続いた大雨により、西日本各地で浸水や土砂災害による甚大な被害が出ています。この豪雨災害は気象庁により、平成30年7月豪雨と命名されました。

今回の豪雨災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々の1日でも早い生活の復興を願っております。

この豪雨災害で街の広い範囲が浸水した地域があります。

岡山県倉敷市の真備町です。

真備町は、もともと真備町という1つの町でしたが、平成の大合併により、倉敷市に組み込まれました。

自衛隊により救出された住民 2017年7月8日岡山県倉敷市、山本裕之氏撮影

画像引用:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASL784HCTL78PLBJ002.html

過去にも浸水被害

この真備町ですが、もともと河川の洪水に悩まされていたとのことです。

真備町の地図を見ても、小田川と高梁川が合流する地点であり、治水技術が発達していなかった昔は、川の氾濫とずっと戦ってきたんでしょうね、住民の方は。

国土交通省の資料では、小田川と高梁川が合流する地点では、1972年や76年にも浸水被害が起きているとのことです。

なぜ甚大な被害

多くの新住民

しかし、そのように河川が氾濫しやすいとわかっていた場所で、なぜこのような甚大な被害が出たのでしょうか。

実は、真備町は近年、倉敷市や総社市のベットタウンとして急速に栄えたところで、新しく他地域から引っ越してきた人が多いとのこと。

古くから真備町に住んでいる方は、洪水の際、どの場所が危ないかわかっていたはずなのですが、

新住民の方は、それを知らなかったという可能性もあり得ます。

真備町のハザードマップ

「5m以上の高さまで浸水する」地域

ここで、倉敷市が公開しているハザードマップ「平成29年作成 倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ 真備・船穂地区」を見てみましょう。

「ハザードマップ」とは災害が起きた時、その場所がどのようなことになるのかを予測した地図です。

前述のハザードマップは倉敷市のホームページから誰でも見ることができます。→こちら

このハザードマップを見てみると、小田川と高梁川の合流地点の平野部のほとんどが、「2階の軒下以上が浸水する」「5m以上の高さまで浸水する」地域であると記載してあります。

↑ハザードマップ「平成29年作成 倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップ 真備・船穂地区」

紫色のエリアが「2階の軒下以上が浸水する」「5m以上の高さまで浸水する」地域

画像引用:倉敷市ホームページ 

http://www.city.kurashiki.okayama.jp/secure

/100849/06mabihunao.pdf

↑倉敷市真備町の決壊した川と浸水エリア 朝日新聞デジタルより引用

画像引用:https://www.asahi.com/articles/photo

/AS20180707003368.html

今回の豪雨では、「2階の軒下以上が浸水する」「5m以上の高さまで浸水する」と指定された地域が、甚大な浸水被害にあっています。

まさしくこのハザードマップの予測が的中してしまいました。

実は河川改修工事の予定だった

実は、河川の洪水を防ぐための改修工事が予定されており、今秋には工事用道路の建設を始める予定だったとのこと。

改修工事の完成後であれば、もっと被害は少なかったかもしれません。

「ハザードマップ」はどこまで認知されていたか

河川改修工事が予定されていたことをみると、今回ハード面が十分ではなかったため、ハザードマップに「5m以上の高さまで浸水する」と記載されたのでしょう。

なので、今回の被害を防ぐためにはソフト面での対策が重要だったはずです。

その中でも、最も重要だったのは、この地域に洪水が起きた時「5m以上の高さまで浸水する」地域だという意識を住民の間で共有し、普段から洪水が起きそうな時はどうするか、どこへ避難するのか考えておくことだったと思います。

「5m以上の高さまで浸水する」地域だという意識を住民の間で共有するためには、まず倉敷市が公開しているハザードマップを住民がしっかり見て、認識するということが必要なのですが、

今回の場合はどうだったのでしょうか。

また、「ハザードマップというものがある」ということが、どれだけ住民の方々の間に浸透していたのでしょうか。

もし、ハザードマップへの認識が薄かったとしたら、これからどのように住民にハザードマップを普及させていくかが、全国の自治体に課された課題だといえます。

命を守る「ハザードマップ」

確かに「ハザードマップ」という横文字はとっつきにくいと思います。

しかし、災害時にどうなるかといういわば「未来の予想」をしている地図であり、

いざという時に、自らの命を守る、そのくらい重要な地図なのです。

これから、家を買う、引っ越す方。

自分がこれから住む地域が災害時どのようなことになる場所なのか、ハザードマップを見てしっかり認識しましょう。

自分が今住んでいる地域が災害時どうなるかわからない方。

お住いの地域のハザードマップを見てみましょう。自治体のホームページで必ず公開されています。自分の場所がどのような土地か、知っておきましょう。

「ハザードマップ」。たかが地図ですが、命を守る地図です。

参考URL

・朝日新聞デジタル2018年7月9日

「西日本の豪雨「平成30年7月豪雨」と命名 気象庁」

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/ASL794564L79UTIL015.html

・wikipedia「真備町」

・倉敷市ホームページ http://www.city.kurashiki.okayama.jp/1870.htm

・朝日新聞デジタル2018年7月8日

倉敷の浸水、河川改修予定だった 5m予測の地域が被害

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/ASL784HCTL78PLBJ002.html

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この記事を書いた人
細田貴洋【地理・地図ライター】

ほそだたかひろ

地理・地図に詳しい【地理・地図ライター】

駒澤大学地理学科卒(都市地理学)、学士(地理学)

国内旅行業務取扱管理者

テレビラジオ、アートといったカルチャーにも詳しい

■書籍執筆
「東大生に挑戦!47都道府県なぞ解き&学習BOOK」(主婦と生活社)

■メディア出演
・スマホRPG「三國志真戦」公式YouTube生配信
・FM NACK5『THE SEITARO★RADIO SHOW「1700」』出演
・LuckyFM茨城放送「HAPPYパンチ!」出演

■Webメディアで地理系記事を多数執筆→詳しくはプロフィールページをどうぞ

Webデザイナーもやってます。

ペンネーム「モリオカケンジ」

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